【火葬依頼】父は日本が大好きだった。

とある日、某所から電話での依頼。

「ブラジルの方が亡くなり、火葬を希望されている。」

衣頼内容を聞き、火葬の手続きを行うため

故人の息子さんに電話でアポをとり、直接会うことに。

(ブラジルはポルトガル語だが、とても日本語が上手な方でした)

待ち合わせ場所に指定された故人様の住所に到着すると、

すでに息子さんたちが部屋の整理を始めているようでした。

話を伺うと、故人は某安置所にいるが、

翌朝甲府にある教会に搬送して葬儀を行うとのこと

その後、火葬をしたいという意向でした。

明日の火葬ということと、外国籍の方の手続きは通常と少し勝手が違うため

急いで役所の方に必要事項を確認しながら、息子さんに聞き取りをし

死亡届出人の欄にサインをいただきました。

一旦息子さんと別れ、役所で無事手続きが終わった頃、息子さんから電話が。

「父を一刻も早く教会に連れて行ってあげたい。今日中にお願いできますか?」

早く父が安心できる場所に連れて行ってあげたい。

そんな切実な想いが電話越しにも伝わってきました。

実は安置場所も教会もスケジュールの都合上、翌朝に故人送迎と決まっていましたが、

事情を聞き、変更を快く了解していただき、

その日の内に納棺と搬送を済ませ、無事教会に安置することができました。

帰り際息子さんから

「父はお酒が大好きだったので、棺の中に入れてあげてもいいですか?」

きあら 「いいと思いますよ、缶やビンは入れられませんが

中身だけ紙コップに少し移してラップしてあげるか、

        もしくは脱脂綿などで直接お口を湿してあげるといいと思います。」思いま

ちょっとした興味で聞いてみました。

きあら 「ちなみにどんなお酒がお好きだったんですか?」

息子さんは笑顔で

「日本酒です。父は日本酒が大好きでした。」

勝手な思い込みでワインやビールを想像した自分が恥ずかしくなりましたが、

その反面、日本酒と聞き、心が温かくなったのを覚えています。

きっとお父さんは日本が好きだったんだろうと想像に難くありません。

きあら 「ゆっくりお父さんと過ごしてください。

それでは明日、出棺の時間にお迎えに上がります。」

お迎えの時間を確認し、教会を後にしました。